PCBの真面目なおはなし。 健康被害をなくすために必要です。

ノリさん

2018年05月27日 09:54


今日は緊急の案件でお客様のところへ行っておりました


今回のお話は「PCB」についてのお話です。

PCBとは?

英語表記で「Poly Chlorinated Biphenyl」

日本名で 『ポリ塩化ビフェニル』 のことを意味します


設備が古く、昭和47年以前から営業登録されてるお店の照明器具には

まだまだPCBが使用されている可能性のある器具があるやもしれません。

PCBは非常に毒性が強く、人体にとっても有害なのです


今回のお客様も県の「環境課」から連絡があり、

『PCBの使われた照明器具がないか調査してください。』

このような連絡があったそうです。


今回の調査対象となったのが高所にある看板灯‥




使わなくなってからかなりの年月がたつそうですが、

お客様が一人で調べられる代物ではありません


「使っていないので看板ごと撤去して調べて欲しい。」 

お客様のご依頼はこのようなものでした。


通常、このような照明器具は電球が交換できるように

交換用の穴が背面に開いていたり、

底部分が外せるようになっているのが一般的です

器具ごとに普通は工夫が施されているものなのですが‥

この照明器具にはそれがない


看板をごっそり外して分解しないと電球が交換できないのです‥

使わなくなったというより、使えなかったの方が正しいのかも


高所作業車にて看板は撤去完了です




くうぅぅー

この場で調査しようにも、やはり細かいネジをすべて外して分解しないと

カバーが外れない仕様でしたっ 残念

もうこの看板を使うことはないということで、看板ごと引き取りします。


‥さて、看板を外しても固定金具が健在です。

再び高所へ上り金具を撤去していきますよ




金具を外すと大きな穴がいっぱい

このまま放置すると雨水が壁内に侵入してしまうこと間違いなし。

内部で構造材などが腐り、壁の剥がれ落ちなどの危険性があります


2か所ある看板固定金具を撤去して、ネジの穴はシリコンコーキングにて

雨水が侵入しないように防水処理しておきましょうか




年十年も全くメンテナンスできなかった看板。

それががなくなり、お客様も一安心


あとは作業場へ看板を持ち帰り、

安定器にPCBが使用されていないかの調査をすれば作業は完了です




PCB‥有害だと判明するまでは電気的な分野の視点で見ると

非常にすぐれた存在だったのです


水に溶けにくく、沸点温度も高いく、熱で分解しにくい特性を持ち、

不燃性で安全性が高く、電気絶縁性が高く保守性が非常に良い。


‥毒性さえなければ、これほど重宝される存在はなかったと思います

人体に有害だということが証明されて以来、製造も使用も中止


脂肪に溶けやすいという性質があるがため、

慢性的な体内への摂取により徐々に蓄積して、

体へ様々な問題症状を引き起こすのです


1968年(昭和43年)に怒った事例として

健康被害を発生させた「カネミ油症事件」があります。

食用油の製造の過程において

熱媒体(これがよくわかりません)として使用したPCBが混入。

昭和43年10月、西日本を中心に広域にわたって発生した食中毒事件です。


症状として、吹出物・色素沈着・目ヤニ等のなどの皮膚症状。

全身の倦怠感、しびれた感じ、食欲の不振などと多様とのこと


平成24年12月にはPCB特別措置法施行令の一部改正がありまして、

PCBの処理期限は平成39年3月31日と定められております。


環境省もPCBについて詳しく書かれていますので掲載しておきます。

「ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト
〜期限内の安全な処理に向けて〜」


作業場へと看板を搬入し、さっそく看板を分解‥というか破壊‥(苦笑)

だって全然ネジが外れないんだもん‥




安定器は2つ‥どれどれ?

なぬっ、昭和44年製造だと




‥PCB含有の可能性が高まります‥

が‥この看板照明にはPCB入りの安定器は使われていませんでした


安定器(コンデンサ)のPCB含有の判別方法としましては、

昭和32年1月から昭和47年8月までに製造された

照明器具に使用されている可能性が高いのです


また、昭和51年(1976年)10月までに建築、または改修された建物には

PCBを使用した照明器具(安定器)が使用された可能性があります。


日本照明工業会の見解として、昭和52年(1977年)3月までに

製造、建築された物件には、対象機器がある可能性がある‥

その様に扱うことが望ましいと考えられているそうですね。


PCBが入っている、入っていないの記載があるもののあるのですが、

はわかりやすいのですが、物によって記載がない安定器もあります。


その判別方法もあるのでちょっと書いておきますね


まず安定器の銘板に記載されているメーカーなどを見てみましょう

型式、種別、性能(力率)、製造年月等の情報から判別できます。


名盤が残っていたら、まず「力率」を確認してください。




力率の記載部分が 0.85, 85%以上であれば

PCBを含んでいる可能性が高いです


追記になりますが、国内メーカーで、昭和31年(1956年)以前及び

昭和48年(1973年)以降に製造された照明器具については、

PCBが入った安定器を使用したものはないと考えられるそうです。

なんだかグレーゾーンが怖いですね


今回の安定器は 0.54% ということでPCBを含みません。 

この場合には各自治体のルールに従い、廃棄物として処理してOKです


力率の記載部分が 0.85, 85%以上であった場合、

今度は製造年(月)を確認してください。

1957年(昭和32年)~1972年(昭和47年)8月に生産の安定器か否か

これに該当しな場合、PCBは含まれていません。

もし該当していた場合、PCBの処理が必要となります


自治体に届け出をし、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)へ

処理申込み・登録を行ってくださいね


また、PCB廃棄物の保管にあっては、

「廃棄物処理法施行規則」に定められている

「特別管理産業廃棄物保管基準」にしたがい、保管することが必要です


小難しいことを書き並べましたが、これは必要なことなのです

古い器具だけどそんなこと知らない、ポイッ  ひぇぇぇ、止めましょう


あとは‥そうですね、

PCBを使用したものにはこんなものがあります。

PCB安定器(コンデンサ)を使用した照明器具や蛍光灯器具。

※当時学校や会社などの一斉取替が行われたこともあります。


水銀灯器具(高天井用・道路用)、水銀灯安定器、

低圧ナトリウム灯器具(トンネル用)、低圧ナトリウム灯安定器

現在はかなり少なくなっているはずですが、可能性はあります。


専門職の方だけでなく、一般の方もちょっと知っておくとよいと思いまして

少し詳しめに書かせていただきました。

抜けている部分や、詳しく足りない部分もあると思いますが、

あくまでもこのようなことがあるというお話なので

何卒宜しくお願いしますm(__)m


お客様にはPCBは含まれていなかったことをお伝えしました

その後、送られてきた通知書に記載して返信されたそうですよ


僕もあなたも知らない世界はまだまだあるこの世の中、

こんなディープ世界にも時々目を向けてみてくださいね


ご用命ありがとうございました


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